これまでに書いた脚本とエッセイの中からいくつかを掲載しています。
なお、シナリオ、エッセイ等の無断転載や無断使用はお断りいたします。
エッセイ
脚本
■母星を失い、孤独な長いたびの末に地球に辿り着いた異星人・キーフ。キーフは地球で最初に出会った、中学生の少年・駈(カケル)と友達になる。駈はキーフが人間の姿になれることを知り、キーフに人間として暮らすように勧めるが、キーフはこの命の惑星で自分を偽ることなく、本来の自分自身の姿で生きたいと願う。
異なる種族が、それぞれの本来の姿でひとつの惑星に共存できる遥かな未来を夢見た異星人・キーフの物語。
■現在、失職中の現場監督・岡田は、ある日、川べりでヘンな茶髪の青年に出くわす。茶髪は、何やら真剣な面持ちで川に小さな模型の舟を浮かべようとしていた。好奇心に駆られて近づいた岡田に、茶髪は奇妙な話をする。もしこの舟がうまく浮かんで海まで行き着けば、茶髪は生まれ変われる、と言うのだ。半信半疑の岡田だったが…。■小品ですが、実は、3年間あたためていたお気に入りの物語です。寺島進さん、山崎裕太さんという超豪華キャスト、原田昌樹監督を始め、夜を徹しての撮影に力を尽くして下さったスタッフの方々のおかげで幸福な作品が出来上がりました。
■身の周りの人や物、あらゆるものに色の名前をつけて認識している少女・麻耶。例えば、麻耶の目に映る親友・真美はホライズンブルー、夜明けの地平線に広がる透明な深い碧色だ……。どこか孤独でピュアな麻耶の恋を、親友・真美の目を通して描いています。ちょっと切ないラブストーリーです。
■この浴衣が縫いあがったら、好きな男の子に自分の思いを告げよう。そう心に決めて、その夏、奈津子は初めて自分で浴衣を縫い始める。だが、もうすぐ仕上がるという時になって、縫いあがるのが少し怖くなる。縫い上がって、一歩を踏み出すのが怖いようなためらうような……。多感で内気な少女と、それをやさしく見守る伯母の由紀子の心のやりとりをスケッチ風に描いたドラマです。
■失恋の痛みを抱えた女子高生3人が、それを吹っ切るために思いついた「この世の終わりを生き延びる旅」。3人はお金も携帯もあらゆる文明の利器を置いて、一晩かけて多摩川の土手を川上めざして歩きに歩くことに。その一夜、彼女たちは様々な人々に出会います。コメディタッチのちょっとほろ苦いロードムービー風ストーリーです。
■役者志望の青年・庄司は、ある日、バイト先の宅配便会社で奇妙な男・永田に出会う。永田は、自分は宇宙のどこかにあるウクバールという町から地球にやってきた宇宙人で、いつかその町に帰るための道を探しながら、宅配の荷物を運びつづけているのだと言う。そんな夢物語、全く信じてなかった庄司だったが、やがて奇妙な出来事が永田の周辺で起こり始める。■ぜひともやりたかった幻想物語で、シナリオの段階から勝手に不破万作さんと寺島進さんをイメージして書いていたら、偶然にも本当にお二人が出演して下さることになり大驚き大喜びした思い出深い作品です。
■ある夏の一日、亡くなった母の十七回忌を迎える三姉妹。長女・律子は、一人、朝から法要の支度に追われていた。律子は、高校3年の時に母を亡くして以来、二人の妹たちの母代わりをつとめ、二人が嫁いだ今も、ひとり実家で暮らしている。というのも、律子の前には母の霊がしばしば姿を現すからだった。母はまるで娘たちが家から離れていくのを寂しがり、怒っているかのように思える。そして、この日も母は……。母と娘の不思議な心のやりとりを中心に、母を愛した一人の娘がやがては花嫁となって嫁ぐまでを描くホラーファンタジー。
■中学3年の短距離ランナー暁は、最後の夏の陸上大会も決勝に破れ、どこかふっきれない毎日を送っていた。そんな折、暁はトマノという不思議な老人と出会う。トマノ老人の手には、美しい扉の描かれた一枚のカード。彼は、その扉の向こうに棲む幻獣グラルファンを呼び出して、自分の思い出の中の時間を取り戻してもらうのだという。不思議な老人との出会いを通して、少年が大人への一歩を踏み出すまでを描いたジュブナイル・ファンタジーです。トマノ役として、亡くなられた天本英世さんに出演していただいた生涯忘れられない作品です。
■人々の個人生活がすべてデータ化される近未来の管理社会。「船が出る」という言葉を残して消えた女。絶え間なく与えられる『幸福への処方』に疲れ果て、『まだ見ぬふるさとを』の存在を信じて、この社会を捨てて行こうとする人々をめぐるハードボイルドSFタッチの物語です。